不動産、ここが不安!?①測量費
不動産の売買には不安がつきものです。不安は、騙されないか?トラブルに巻き込まれないか?など、そのほとんどは信用と未来について生まれます。その中で基礎知識は特に重要で、不動産屋自身常識になっていて説明してくれなかったりします。そこで今更の基礎知識を紐解き、無用な不安から少しずつでも解放されれば幸いです。
土地売買の基本情報として真っ先に住所があり、一般的には行政上の「住居表示」、いわゆる住所を使いますが、これは案外あやふやなものでどこからどこまでがその住所なのか判然としません。
法務局では不動産の権利を第三者に主張できるように、登記や面積を明確にする場合「地番」を使います。原則として「地番」は、法務局において「公図」という測量した地図に登記されており、隣との境界線がどこであるか明確に線引きしてあります。原則と書いたのは現実と相違することが少なくないからです。
普段暮らしているだけでは正確に境界を気にしませんから、古い土地などは現状と大きく違っていたりします。売買のその時は境界線をハッキリと定めて売り買いしないと紛争の種となるのは必定です。容量もわからない商品は誰も買えません。
この難しそうな作業を行うには、測量士や土地家屋調査士という国家資格を持った専門家に依頼しなければ完了できない仕組みになっています。測るのが測量士で登記関連の業務は土地家屋調査士が担当しますが両方の資格があれば分担の必要はありませんね。とにかく素人がメジャーで測っても法務局は受け付けてはくれません。
さて、ここでいくつか不安が出てきました。費用っていくら?登記は何を用意するの?など。前置きが長くなりましたが本題です。
測量費は相場がありません。土地の面積(地積と言います)も会社の規模も名前も関係ありません。どのくらい手間がかかるかが問題です。
面積を登記する確定測量と、とりあえず面積を測る実測測量があります。少し前までは対角線を引き三角形をたくさん並べて面積を割り出し、三斜線と呼ばれる線が図面にたくさんありましたが、今では高価な機器を使いレーザー光線などでも綺麗にミリ単位で測ることができます。
地積を確定するためには、隣の地権者に同意を取り付けないといけません。大勢が隣に住んでいればそれだけ手間がかかりますので費用も高くなります。隣に大きな分譲マンションがあると大変そうですね。
完了時期もマチマチで、相手方により何年もかかったりします。場合によっては同意を得られず不調に終わり売買ができないケースも見受けられますので、中止も考慮し資格者に依頼する時はしっかり契約内容を文書で確認できる依頼書受任書の取り交わしをオススメします。
地積を明確にする義務は売主が負いますので測量費は売る側が負担します。買主も業者の場合などその費用を出しても欲しい場合に負担する場合がありますが、一般には買主は負担しません。
では具体的にいくらかというと、確定測量で標準的な宅地30坪だと30万~80万円くらいです。条件によって一概に言えないのですが15万円は安すぎて不安だし100万円は言い過ぎでしょうと言ったところです。現実に不安を解消するには相見積りをして、内容や単価をよく比較するしかありません。いろいろ言われても目的はひとつであることを確認しておきましょう。
確定測量であれば登記費用もその中に含まれますから、登記費用別と言うことはありません。しかし業務を遂行していく途中で追加費用が発生する場合はあります。実測地積が1㎡以上公図と違えば修正しなければならなくなります。これを地積更正と言って別途費用がかかります。その他確定するためには不測の費用も考えられなくはないわけです。
隣地と境界を確定するときには、境界(筆界)確認書を作成してお互いに実印を押印します。隣が公的な土地であればお役所相手に認めてもらうのでさらに時間と手間がかかります。実印ということは印鑑証明も用意しなくてはなりませんし、その他必要書類は依頼した資格者の指示に従っていれば問題ありません。
こうして手間をかけた測量は登記申請してからおよそ一週間で完了します。登記は問題があれば受け付けてくれませんので申請して受理されれば一安心ということになります。
あなたが売主なら、測量費を負担して資格者に依頼し無理無駄の無い確定測量を目指しましょう。
あなたが買主なら、測量がキチンと完了しているかよく吟味するだけです。
これは売買の最初に重要なことですが不安に思うことはありません。正確に把握してさえおけば誤魔化しはきかないからです。安全なお取引を応援しております。
因みに不動産会社から測量会社を紹介されたり決めつけられたりする場合は、その不動産会社が信用に足りるかどうかという全く別の問題になりますのでここでは扱わないことにしました。